Transcutaneous electrical nerve stimulation(TENS)は、急性および慢性の痛みを緩和するために広く使用されている非薬理学的な治療法です。TENSは、皮膚に配置された電極を通じてパルス状の電流を送ることで、痛みの信号を抑制します。この記事では、TENSがどのようにして疼痛を抑制するのか、その生理学的メカニズムについて詳しく説明します。
1. ゲートコントロール理論
TENSの最もよく知られたメカニズムの一つは、ゲートコントロール理論です。この理論によれば、高周波(HF)TENS(約50-100 Hz)は、大径のAβ線維を刺激し、痛みの信号が脊髄を通過するのを抑制します。これにより、痛みの感覚が脳に到達するのを防ぎます。
2. 内因性オピオイドシステム
低周波(LF)TENS(約2-4 Hz)は、Aδ線維を刺激し、脊髄内でエンケファリンなどの内因性オピオイドを放出させます。これにより、痛みの信号が抑制され、痛みの感覚が軽減されます。このメカニズムは、特に慢性的な痛みの緩和に効果的です。
3. 中枢神経系の抑制経路
TENSは、脳幹の中脳水道周囲灰白質(PAG)や延髄腹内側部(RVM)などの中枢神経系の抑制経路を活性化します。これにより、痛みの信号が脳に到達するのを防ぎます。特に、LF TENSは、これらの抑制経路を強力に活性化し、広範囲にわたる痛みの緩和をもたらします。
4. 神経化学物質の役割
TENSの効果は、オピオイド、セロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ガンマアミノ酪酸(GABA)などの神経化学物質によって媒介されます。これらの化学物質は、痛みの信号を抑制し、痛みの感覚を軽減します。
5. 末梢神経のブロック
TENSは、末梢神経の逆行性活性化を引き起こし、末梢構造から発生する痛みの信号を遮断します。これにより、痛みの感覚が軽減されます。
まとめ
TENSは、複数の生理学的メカニズムを通じて痛みを抑制します。ゲートコントロール理論、内因性オピオイドシステム、中枢神経系の抑制経路、神経化学物質の役割、末梢神経のブロックなど、これらのメカニズムが相互に作用し、効果的な痛みの緩和をもたらします。TENSは、個々の患者の痛みの種類や強度に応じて、最適なパラメータを調整することで、最大の効果を発揮します。
参考文献
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