圧迫骨折治療の要点まとめ
1. コルセット療法の効果と限界
コルセットは圧迫骨折の治療において、特に骨折直後の強い痛みを抑える目的で有効とされています。しかし、その効果は限定的であることが、近年の質の高い医学研究によって示されています。
- 短期的な痛みの軽減: 受傷後3ヶ月程度の急性期において、コルセットを装着することで痛みが和らぐ効果が複数の研究で確認されています。
- 長期的な効果の限定性: 痛みを抑える効果は半年以上経つと見られなくなり、生活の質(QOL)の改善や日常生活動作の回復においても、コルセットの有無による明確な差はないと結論付けられています。
- 変形予防効果は限定的: 装着初期には背骨の変形を一時的に抑える可能性はありますが、1年程度の長期的な視点では、変形を防ぐ効果は持続しません。
- 負荷軽減のメカニズム: コルセットが腹部を圧迫して腹圧を高め、体幹の動きを物理的に制限することで、腰椎にかかる力学的な負荷(メカニカルストレス)を軽減する効果があります。
結論: コルセットは、骨折直後の強い痛みを管理するための短期的な対症療法としては有効ですが、長期的な機能回復や変形予防を目的とした万能な治療法ではないと理解されています。
2. BKP(経皮的後弯矯正術)の有効性とデメリット
BKPは、骨折した椎体に骨セメントを注入し、痛みを迅速に取り除く非常に効果的な手術です。しかし、その治療メカニズムに起因する重大なデメリットも存在します。
- 主な有効性: 強い痛みを速やかに、かつ劇的に改善する効果があります。
- 最大のデメリット(隣接椎体骨折): BKPの最も注意すべき点は、隣接する椎骨に新たな骨折を引き起こすリスクです。
- メカニズム: 骨セメントによって治療された椎体は非常に硬くなります。その結果、背骨全体にかかる力が硬くなった椎体を避け、その上下にある(骨粗鬆症などで)脆いままの椎骨に集中してしまいます。
- リスク: この力学的なストレスの集中が原因で、治療した椎体の隣に新たな圧迫骨折(隣接椎体骨折)が発生することがあります。この骨折は、BKP後、比較的早い段階(数ヶ月以内)に起こりやすいと報告されています。
コルセット療法に関する論文
BKP(バルーンカイフォプラスティ)関連論文
各論文の詳細・概要
- Kato Tら(2019)は硬性・軟性装具のRCTで長期成績に有意差なし。
- Mikula ALら(2023)は複数RCTのメタ解析で短期的疼痛緩和はあるも、QOL・機能改善は限定的と総括。
- Kim HJら(2016)はコルセットの装着有無と疼痛・機能改善効果に差がないことを報告。
- Kamei Nら(2022)、Wu Fら(2025)、Yamamoto Mら(2025)はBKP後の隣接椎体骨折リスクを臨床・画像所見から検討。
- Choi BYら(2020)はBKPの器具・セメント合併症に関する事例を報告。
上記は過去の医療論文に基づく主要な出典となります。さらに詳細な論文内容や入手先については、各文献のリンクやPMIDなどをご参照ください。

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