ペースメーカーを装着している患者に対して電気刺激療法を行うことは、一般的に禁忌とされていますが、最近の研究ではその安全性についての詳細な検討が行われています。以下では、ペースメーカー患者に対する電気刺激療法の安全性を調査した主要な論文を紹介します。
1. TENSとペースメーカーの相互作用
UninTENSional pacemaker interactions with transcutaneous electrical nerve stimulation
この研究では、経皮的電気神経刺激(TENS)がペースメーカーに与える影響について検討しています。TENSは痛みの緩和に広く使用されていますが、ペースメーカー患者に対する安全性については懸念がありました。研究では、TENSがペースメーカーの機能に干渉する可能性があるため、初回使用時には心電図モニタリングが推奨されています。
2. TENSによるペースメーカーの抑制
Cardiac pacemaker inhibition by transcutaneous electrical nerve stimulation
この論文は、TENSがペースメーカーの機能を抑制する可能性について報告しています。2例の患者でTENS使用中にホルターモニタリングを行った結果、ペースメーカーの機能に干渉が見られましたが、ペースメーカーの感度を再設定することで問題が解決されました。これにより、ペースメーカー患者に対してTENSを使用する際には、延長された心臓モニタリングが推奨されます。
3. NMESとペースメーカーの安全性
Neuromuscular electrical stimulation for a dysphagic stroke patient with cardiac pacemaker using magnet mode change: A case report
このケースレポートでは、嚥下障害を持つ脳卒中患者に対して神経筋電気刺激(NMES)を行う際、ペースメーカーの磁気モード変更を使用して電磁干渉(EMI)のリスクを管理する方法が紹介されています。ペースメーカーを外部刺激の影響を受けないモードに変更し、安全にNMESを実施することができました。
4. 電気刺激療法のペースメーカー機能への影響
Influence of electrical stimulation therapy on permanent pacemaker function
この研究は、電気刺激療法がペースメーカーの機能に与える影響について検討しています。結果として、特定の条件下ではペースメーカーの機能に干渉する可能性があるため、慎重な評価とモニタリングが必要であることが示されています。
5. FESサイクリングとペースメーカーの安全性
Safety and preliminary efficacy of functional electrical stimulation cycling in an individual with cervical cord injury, autonomic dysreflexia, and a pacemaker: Case report
このケースレポートでは、頸髄損傷と自律神経過反射を持つ患者に対して機能的電気刺激(FES)サイクリングを行った際の安全性と有効性について報告しています。心電図とペースメーカーの評価を行った結果、FESサイクリングは安全であり、ペースメーカーの機能に問題がないことが確認されました。
参考文献一覧
- UninTENSional pacemaker interactions with transcutaneous electrical nerve stimulation. (2009). PubMed
- Cardiac pacemaker inhibition by transcutaneous electrical nerve stimulation. PubMed
- Neuromuscular electrical stimulation for a dysphagic stroke patient with cardiac pacemaker using magnet mode change: A case report. (2021). NCBI
- Influence of electrical stimulation therapy on permanent pacemaker function. (2019). PubMed
- Safety and preliminary efficacy of functional electrical stimulation cycling in an individual with cervical cord injury, autonomic dysreflexia, and a pacemaker: Case report. (2019). PubMed
これらの研究は、ペースメーカー患者に対する電気刺激療法の安全性を評価するための重要な知見を提供しています。各研究は異なる側面から安全性を検討しており、適切なモニタリングと管理が行われれば、ペースメーカー患者に対しても電気刺激療法が安全に実施できる可能性を示しています。

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